2013年02月27日

「若狭・多田寺の名宝」@龍谷ミュージアム

京都の龍谷大学龍谷ミュージアムさんで、「企画展 若狭・多田寺の名宝」を開催中です。

残念ながら、私はまだお邪魔できていませんが、仏像にご興味のある方には必見の展覧会です。

「多田寺の秘仏本尊・薬師三尊像が、寺外で揃って初公開されることになりました。この展覧会では、新発見の仏像・仏画を含め、多田寺に伝来した宝物のすべてが展観されます」というもの。

小浜市・多田寺さんの薬師三尊像は、元来一具のものではありませんが、おそらくみな奈良時代にさかのぼる貴重な木彫像です。

私は若かれしころ、このうち右脇侍の十一面観音菩薩立像を、展覧会に出品していただいたことがあります。当時この三尊は、平安時代初期の作とされていました。

私は展覧開会期中、記録のためにこの十一面観音像の写真撮影を行いました。その際、薄暗い展示室でふとその後姿を見て驚きました。まるで生きた人間が立っているように見えたからです。

正面より拝すると、どこか地方作らしいぎこちなさがありますが、実はきわめて写実的な彫刻なのです。この仏像は奈良時代にさかのぼると確信し、拙いながらも論文にまとめました。私の初論文です。

個人的に思い出深い仏像なのですが、とにかく、この三尊がそろっての寺外公開は、大変貴重だと思います。同じく展示されているであろう四天王立像も、平安時代前期とされていますが、もっとさかのぼる可能性があるのではないか・・・。

今春、見逃せぬ展覧会の一つです。


 

2013年(平成25年)2月9日(土)〜4月7日(日)
休館日…月曜日(祝日の場合は翌日)

午前10時〜午後5時
※最終入館は4時30分まで

○一般   700(500)円
○高大生  500(300)円
○小中生  200(100)円
※( )は20人以上の団体料金

会期中の展示総数約50点
(1) 多田寺の秘仏本尊
(2) 多田寺の仏像
(3) 多田寺の歴史と宝物
(4) 若狭の薬師信仰と寶泉院の宝物

■記念講演会
(1)「若狭の仏像と多田寺」
芝田寿朗氏(福井県立若狭歴史民俗資料館館長)
2月23日(土)13:30〜15:00
龍谷大学大宮学舎清和館3階ホール
(※会場は龍谷ミュージアムとは異なります)
先着200名まで

(2)「多田寺を取り巻く歴史と文化」
杉本泰俊師(元小浜市立図書館館長)
3月9日(土)13:30〜15:00
龍谷大学大宮学舎清和館3階ホール
(※会場は龍谷ミュージアムとは異なります)
先着200名まで

posted by baikado at 20:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術

2013年02月25日

妻木良三「幻標」展残すところ一週間

早いもので、妻木展も今週月、木〜日の五日間のみとなりました(3月3日まで)。

お客さんともお話しているのですが、今回の展覧会は、写真作品個々はもちろん、梅香堂の空間とその作品たちとの絶妙なバランス、緊張感も見ものです。

とくに奇をてらったものではありませんが、一歩足を踏み入れた瞬間から、並々ならぬ「気配」を感じさせます。

妻木君はあまり意識していないようですが、彼には明らかに「展示」の才能がある。空間を読み、そこに作用する能力、いわゆるインスタレーションする力があります。

今回の展覧会では、妻木君の作品の新たな一端を示すことができたと思いますが、この非凡な展示の才能を再認識できたことも大きい。

これからの彼の展開に、期待をもたせるものです。

とにかく、ぜひご来堂いただき、みなさまの眼で、その空間を確かめていただきたい。

週末には妻木君も在堂する予定です。お待ちしております。

撮影:妻木良三

posted by baikado at 10:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 梅香堂

2013年02月20日

安部貴住「CIRCULATE」@梅香堂

2010年の「循環と置換」展に参加した、安部貴住君の個展「CIRCULATE」を下記のとおり開催します。

安部君は昨年、拠点としていた福岡のart space tetraを離れ、東京に居を移しました。その多忙な毎日の中でも、着実に制作を続けてきました。

本展はそれらの作品に加え、近作、最新作を展示することで、安部君の新たな展開を存分に知ることのできる展覧会となります。

初日の17:00よりオープニング・パーティを行います。みなさまのご来堂をお待ちしております。

※当初、3/17(日)オープンとしていましたが、3/16(土) 17:00〜 に変更となりました。


安部貴住「CIRCULATE」
ABE Takasumi -- "CIRCULATE"

 

2013年3月16(土)日〜4月21(日)日 13:00〜19:00(初日は17:00より)
火・水曜日休堂 入堂無料
※オープニング・パーティ 3月16(土)日 17:00〜 無料

2012年に、福岡から東京に拠点を移した安部貴住の個展。

安部は、記号と物質のせめぎあいである絵画を、極限まで削ぎ落とされた彫刻的な膜としてとらえます。その一見禁欲的なモノクロームの膜は、豊かなイメージを喚起させる半透明な風景画ともいえます。最新の大型作品などを展示予定です。


ステートメント

雨の音や光を感じるとき、深緑を眺め落ち葉を踏むとき、

匂い、音、色で再現される記憶の時間は

蓄積された明るい光景。

安部貴住(あべ たかすみ)

1976年大分県生まれ。1999年九州産業大学芸術学部美術学科彫刻コース卒業。2004年、非営利のオルタナティヴスペース、art space tetra(福岡)を共同で設立。2006年、デヴィッドソン大学(ノースカロライナ)にレジデンス。近年の個展に、「circulate」(ギャラリー58・2013)、「circulate」(八万湯・2010)、「circulate」(共同アトリエ3号倉庫・2009)など。近年のグループ展に、「リバース祇園・八万湯」(八万湯・2011)、「10th Anniversary Exhibition "first decade"」(共同アトリエ3号倉庫・2011)、實松亮・安部貴住「循環と置換」(梅香堂・2010)、「アートの現場Vol.21 福岡アートフェア・シミュレーションα」(福岡県立美術館・2007)などがある。


CIRCULATE (mirror) 2013

 

CIRCULATE (dot) 2013

CIRCULATE (line 1) 2013

posted by baikado at 14:27| Comment(3) | TrackBack(0) | 展覧会のお知らせ

2013年02月19日

「揺れる橋下市長、美術館閉鎖「白紙化」の背景は」

揺れる橋下市長、美術館閉鎖「白紙化」の背景は

1936年開館の大阪市立美術館(大阪市天王寺区)の存廃を巡る議論が振り出しに戻った。
「ハコモノ(公共施設)のリストラ」を掲げる橋下徹市長は1月29日に中之島(同市北区)に予定している新美術館に統合する「閉鎖検討」方針を打ち出したが、わずか半月後の今月15日には「完全統合は決定ではない」と軌道修正し、2美術館のあり方について再検討に入った。
「2館併存検討」に転じた背景を探った。
 ◆トーンダウン
「文化財保管の重要性について、僕の中で認識が欠けていた」
今月4日、市立美術館を視察した橋下市長は、神妙な面持ちで記者団に語った。たった6日前に「2館を併存させるわけにはいかない。一本化の検討が必要」と述べていた「閉鎖検討」方針がトーンダウンした。
15日には、「天王寺は東洋美術、中之島は西洋ですみ分けになる」と、市立美術館の存続に含みを持たせる発言を行い、「閉鎖検討」は白紙になった。
「中之島は水害の危険度が大きい。市長はリスクを回避したのではないか」。市幹部は短期間での市長の変化をこう読み解く。
旧財閥・住友家から寄贈された土地を活用した市立美術館は海抜20メートルの台地にあるが、新美術館の予定地、中之島地区は、堂島川と土佐堀川に挟まれた中州だ。2000年の東海豪雨級の場合、最大3メートルまで浸水する恐れがある。
新美術館予定地に隣接する国立国際美術館は、地下2、3階の収蔵庫にピカソなど約6000点を保管。防潮扉3基や、非常時に稼働する防潮板を設け、同館担当者は「最大5メートルの浸水に耐えられる」としている。
市幹部は「新美術館にも水害対策は欠かせない。ただ、市立美術館を閉鎖・統合すれば、新美術館の収蔵スペースが広がり、対策費が膨らむ。橋下改革に逆行する」と指摘する。
(2013年2月19日15時07分  読売新聞

国立国際美術館さんは3.11以前に建設されました。おそらく豪雨などによる水位上昇しか、考慮されていないでしょう。3.11のような津波の場合、国際さんの上屋が破壊され、地下展示室などは完全に水没する可能性があります。

収蔵庫は水圧に耐えられるのでしょうが、おそらく数ヶ月も水没したままになるかも知れません。

同じく中之島にある東洋陶磁美術館さんにもそのリスクがありますが、東洋陶磁さんのある中之島東端はやや海抜が高く有利です。(Flood Maps http://flood.firetree.net/?ll=34.6850,135.5103&z=4&m=5

どうしても中之島に美術館を建設するのならば、高層化しかありませんが、当然建設コストはかさむことになります。

毎日新聞さんの記事にもあるように、大阪市美さんの地下展示室、収蔵庫などは残し、中之島に展示施設を作るつもりなのか。

繰り返しますが、そもそも今の大阪市に、100億円単位のその建設費を捻出できる可能性はあるのでしょうか。

もとより不可能な、非現実的、不毛な議論をしているようにも思えます。

posted by baikado at 16:16| Comment(3) | TrackBack(0) | 博物館・美術館

2013年02月18日

「大阪市、中之島に美術館建設を決める」

大阪市、中之島に美術館建設を決める
(大阪府)

大阪市は中之島に新しい美術館を建設する方針を決めた。一方で検討されていた天王寺にある市立美術館との統合は決まらず、今後議論を続ける。大阪市は18日開かれた幹部会議で、国から購入した中之島の建設用地に新しい美術館を建設する方針を決めた。これまでの検討では、世界から注目される美術館を目指すため、市立美術館を統合する構想が浮上していたが、市立美術館へ作品を寄贈した人から作品の集約に関して反対意見が上がるなど、方針が定まらない状況となっていた。一方で今年度中に美術館の建設を決めなければ、国に対し最大で48億円の違約金が発生するため、建設方針を先に決定し、コンセプトや市立美術館との統合など中身の議論を先送りした形となった。
[ 2/18 18:19 読売テレビ]

またまた「先送り」ですか・・・。

とにかく何が何でも中之島に何かを作る、という結論ありきの議論はどうなのでしょうか。

posted by baikado at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 博物館・美術館