此花におけるアート活動の、中心的存在であったスペース、此花メヂアが、今月末日をもって閉鎖されるとのこと。
メヂアは、もともと2008年ころより立ち上がった「此花アーツファーム構想」の一拠点として、空き家であった古いメリヤス工場を改装して誕生しました。命名は作家の藤浩志さんで、その後は藤さんのアトリエ兼倉庫になっていました。
私が此花に来たのが2009年の春。梅香堂を改装中に何度かメヂアなどで藤さんにお会いしました。梅香堂がオープンした2009年冬前後に、何名かの作家による共同アトリエとなりました(このあたりの記憶はあいまいです。もっと後だったのかも)。
最盛期?には10名近い若いメンバーたちが利用していたと思います。メンバーや、メンバー企画の展覧会やイヴェントを年間数回開催してきました。
2009〜2010年ころのメヂアか。
2010年ころよりメヂアで生活するメンバーも出てきて、オープン性が増し、此花に訪れる多くの人たちが集まる場となりました。
反面、メヂアで本格的に制作するメンバーは減ってゆき、2012年ころより自由な溜まり場的存在となりました。
メヂアの魅力は、何といってもその異様な建築にあります。増改築を繰り返した五棟の建物が合体したそれは、九龍城とも軍艦アパートともつかぬ摩訶不思議なもので、雑然とした大阪の下町、梅香のシンボルともいえるものでした。
短い期間ですが、メヂアの思い出は尽きません。性格は異なりますが、梅香堂と兄弟的な存在であり、この場が失われるのはさみしい限りです。
もちろんメヂアにはいろんな問題もありました。しかし、それが生産的でクリエイティヴかどうかはさておき、広義のアートがひそやかに息づくためには、メヂアのようなある種治外法権的で、アナーキーな空間も必要です。
厳密な意味ではありませんが、メヂアは此花に集う若者たちの「アジール」でした。私もいろんな意味で癒されました。
二度とあのような場が生まれることはないでしょうが、その想い出だけは忘れないでいたいと思います。ありがとう。
6/30 17:00より、此花メヂアの最後のオープン・アトリエを行うそうです。メヂアを訪れたことがある方も、ない方も、お時間があればぜひどうぞ・・・。