花代 写真展「灰色区域」が、オープン二週間となりました。毎日、花代さんの作品をながめていると、今までの彼女の作品とは少し趣きが異なる点などに気づきます。
先日、花代さんの作品はいわゆる「ガーリー・フォト」とは異なる点がある、と書きましたが、もちろん共通するところも多い。その一つは何気ない「日常」をその被写体としているところです。そして、写真が本来そなえている大文字の「記録」への欲望が、それまでの写真家たちに比べると、希薄というかきわめて個人的なところ。
飯沢耕太郎さんが言及されていますが、いわゆる大上段に被写体に立ち向かう「男性原理」に従った写真に比して、彼女たちは被写体に寄り添う、まさに「女性原理」に従って写真を撮っているとも言えます(「Photologue - 飯沢耕太郎の写真談話」より)。
これも飯沢さんが指摘していますが、花代さんが敬愛する森山大道さんも、一見ハードな「男性原理」的な写真家に見えますが、実は「女性原理」的な写真家といえます。とくに初期の「アレ・ブレ・ボケ」と称された「プロヴォーク」時代の作品などは、大文字の写真への反抗とも言えるかも知れません。
今回の花代さんのモノクローム作品は、もしかすると大道さんへのオマージュなのかも知れません。今までのカラー作品ではその独特の色彩により背景化していた、彼女の作品の本質あるいはルーツである、「アレ・ブレ・ボケ」的な表現が際立っているように感じます。
ぜひ足をお運びいただき、カラー作品との違いを感じ取っていただきたいと思います。
また、品切れ状態であった、限定版写真集「灰色区域」も再入荷しています。展示されていない作品も含まれていますので、こちらもお見逃しなく。