2013年10月27日

花代 写真展「灰色区域」終了

ただいまを持ちまして、花代 写真展「灰色区域」は無事終了いたしました。お忙しいところおいでいただきました多くのみなさまに、花代さんともども御礼申し上げます。

誠にありがとうございました。

今回は花代さんにとってはじめてのモノクローム作品展であり、いらっしゃったお客さんも、新鮮な印象を受けられたようです。花代さんの作品が好きな方、写真一般が好きな方、多くの方々がいらっしゃいましたが、おおむね好評でした。とくに写真を専門にやってらっしゃる方から少なからぬお褒めの言葉をいただきました。

ご存知のように写真は、技術的な部分も大きく、とくに今回のようなアナログのモノクローム・プリントではその要素が強くなります。

しかし、花代さんの作品はそうした部分を意識させず(もちろん技術的に問題がある訳ではありません)、個性的な花代さんの世界、空間を表現できていたと思います。

そしてカラー作品とはまた異なった静謐さや深みのようなものが感じられ、花代さんの新しい側面が垣間みれた気がします。

花代さん、お疲れさまでした・・・ありがとう。

posted by baikado at 19:00| Comment(0) | 梅香堂

2013年10月22日

梅田哲也「山が入る穴」@のせでんアートライン

はじめて、妙見山に行ってきました。 能勢電鉄開業100周年記念「のせでんアートライン妙見の森2013」に、梅田哲也君が出品しているためです。

展示を手伝ったPOSの大川君よりちょっと話は聞いていましたが、作品は山頂近く、辺鄙な三角点のそばにありました。廃屋となった茶室を改造したものですが、なかなか大変な工事だったことがうかがえます。

場所が場所なだけに、作品には電気が使われていません。ネタばれになるので多くは語りませんが、二重の意味でまさしく「山が入る穴」です。

そして、梅田君がのせでんアートラインの中で最も不便なこの場所をなぜ選んだのか、伝わってきます。この作品はドカドカと多くの観客が押しかけるものではなく、せいぜい二、三名、しかも作品の鑑賞にはかなりの時間が必要だからです。まわりの幽かな松籟や、鳥や虫の声も大事でしょう。

都会の喧騒を離れ、霊山の山頂で瞑想できる・・・というとちょっと大げさですが、梅田君らしいサイト・スペシフィックな良作です。

山頂に登るためのケーブルカーとリフトの路線の途中にも梅田君の作品があるようです(ケーブルカー路線作品は未見)。電車で行くか、車ならケーブルカーの始発、黒川駅に駐車して登るとよいと思います。「アート&グルメパス(1,000円)」がおすすめか。

また山道だからだけではなく、梅田君の作品をよく見るためにも、晴れの日に行かれることを強くおすすめします(11/24まで)。

posted by baikado at 20:55| Comment(0) | 美術

2013年10月21日

「映画をめぐる美術―マルセル・ブロータースから始める」@京都国立近代美術館

タイトルからちょっと難解なイメージのあった展覧会ですが、図らずもエレベータを利用したため、展示順路の出口から見たことにより、この展覧会がすんなりと理解できた気がします。

本展は、「マルセル・ブロータースから始める」としつつ、本当は「映画と美術」という壮大なテーマを扱う野心的なものであり、そのテーマが拡散してしまうことを避ける─言い方は悪いですが、恣意的に切り取ったことのいわば「言い訳─担保」として、ブロータースがその筆頭にあるのではないでしょうか。

展覧会は、「Still / Moving」「音声と字幕」「アーカイヴ」「参照・引用」「映画のある場」の五つのサブテーマで構成されているらしいのですが、これは考えてみればどのような作品にも当てはめられそうなテーマです。

こうしたテーマ展の成り立ちには、テーマから演繹的に作家や作品を選ぶ場合と、作家や作品からテーマを導く帰納的な場合があります。本展は一見演繹的に見えながら、実はブロータスだけではなく、すべての作品からはじまる帰納的な展覧会─同時多発的な物語といえるかも知れません。

ひさびさの京近美さんらしい?マニアックな展覧会としておすすめします。欲をいえば、映画と美術を切り分けるものについて、もう少し掘り下げて欲しかった・・・10/27まで。

posted by baikado at 00:19| Comment(0) | 博物館・美術館

2013年10月16日

下道基行「torii」@梅香堂

下記のとおり、下道基行君の個展「torii」を開催します。

近年国内外で、多彩な活躍のめざましい下道君ですが、彼の作品の原点はやはり「戦争のかたち」と、この「torii」シリーズと言えるでしょう。

どうぞお楽しみに。


下道基行「torii」

SHITAMICHI Motoyuki –torii

 

2013年11月16(土)日〜2014年1月19(日)日 13:00〜19:00

火・水曜日・年末年始(12月24[火]日〜1月8[水]日)休堂 入堂無料

※オープニング・パーティ 11月16(土)日 17:00〜 無料

協力:nap gallery

下道基行の代表作「torii(2006〜2012年)」の、関西初公開。

かつて日本であったアジア・太平洋各地に遺る鳥居。それらは、本来の宗教的、社会的シンボルとしての機能はもとより、歴史遺産としても忘却され、その地の日常に埋没しています。下道はそれらを発掘し記録するのではなく、同時代のありふれた一風景として静かに見つめなおしています。

みなさまのご来堂をお待ちしております。

下道基行(したみち もとゆき)

m-shitamichi.com

1978年岡山県生まれ。2001年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。2003年東京綜合写真専門学校研究科中退。愛知県在住。

近年の個展:「Kart Invitation Program Vol. 4 下道基行展:日曜画家/Sunday Painter」(Gallery Kart/2013)、「成層圏 vol.3 風景の再起動―下道基行」(gallery αM/2011)、「Dusk | Dawn」(nap gallery/2011)、「クリテリオム79:下道基行」(水戸芸術館現代美術ギャラリー/2010)、「RIDER HOUSE」(Midori Art Center/2010)、「Air/空」(梅香堂/2009)。

近年のおもなグループ展:「2013 アジアン・アート・ビエンナーレ」(国立台湾美術館/2013)、「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」(森美術館/2013)、「あいちトリエンナーレ2013」(東陽倉庫テナントビル/2013)、「超訳 びじゅつの学校」(十和田市現代美術館/2013)、「路上と観察をめぐる表現史─考現学以後」(広島市現代美術館/2013)、「MOTアニュアル2012:風が吹けば桶屋が儲かる」(東京都現代美術館/2012)、「第9回光州ビエンナーレ」(光州ビエンナーレ展示場/2012)、「開港都市にいがた:水と土の芸術祭2012」(万代島旧水揚場/2012)、「この素晴らしき世界:アジアの現代美術から見る世界の今」(広島市現代美術館/2012)、「再考現学 / Re-Modernologio─pahse3:痕跡の風景」(国際芸術センター青森/2012)、「Emerging Artist Series 02: NOWHERE」(ベトナム日本文化交流センター/2011)、「絶滅危惧・風景」(大阪市立近代美術館[仮称]心斎橋展示室/2011)、「共鳴する美術2010:ストーリー・テリング」(倉敷市立美術館/2010)など。

サイパン・アメリカ合衆国

サハリン・ロシア連邦

posted by baikado at 21:20| Comment(0) | 展覧会のお知らせ

2013年10月15日

「HANARART 2013:アイダカラダ」@大和郡山

台風が近づく中、大和郡山へ。「HANARART 2013」です。

「HANARART」は奈良県各地の町屋や倉など、伝統的な建築を使った地域型アート・イヴェントです。奥中章人君が企画する「アイダカラダ」が先週の土曜日より開催されており、梅香堂に出入りする作家さんたちも参加しているので、行ってきました。

会場は大和郡山市の堺町ゾーン(浅井邸酒蔵・浅井邸ガレージ・堺町の家)とされるところ。

まず、浅井邸ガレージの吉原啓太君の作品へ。吉原君はこの古いトタン張りのガレージの中に一ヶ月以上レジデンスしていたそう。そのレジデンス環境を整えるさまざまな行為を記録した映像が、上映されていました。

吉原君は、「箱」を制作し、その箱を移動(旅)させることによって発生する他者とのイヴェントを作品化してきたのですが、今回は、奥中君によれば「吉原君をガレージという箱に閉じ込めてみた」作品だそう。

確かに、窓や入口をふさがれたガレージは大きな箱をイメージさせます。そこに吉原君は自らの寝室(箱)を作りました。さらにミミズの家(水槽)などもあり、この作品はマトリョーシカのような入れ子構造を備えているといえるでしょう。

そうしてみれば、ガレージ内を動き回るロボット掃除機なども、箱のメタファーなのかも知れません。さらには・・・。

多くは語りませんが、今回の吉原君の作品は、すばらしい奥中君の企画があってこそ実現した佳作といえると思います。

その他、大歳さんや辺口君、水玉君ほかの浅井邸酒蔵・堺町の家の展示もよかった。何より企画した奥中君と参加した作家さんたちとの信頼関係がうかがえ、みな楽しんで展示を行ったことがひしひしと伝わってきました。

時間などの関係で他会場には行けませんでしたが、堺町ゾーンだけでも見応えはありました。お時間があればぜひ(10/20まで)。

posted by baikado at 21:46| Comment(0) | 美術