2011年03月31日

「新潟市美術館新館長公募へ」

新潟市美術館新館長公募へ

2011年03月31日

 

展示作品からカビやクモが発生した新潟市美術館の運営改善策を検討してきた「市美術館の評価及び改革に関する委員会」(委員長=金山喜昭・法政大教授)の最終会合が30日、新潟市役所で開かれた。篠田昭市長は改革を進めるため、外部から公募で館長を選任し、2012年度から本格的な改革に取り組む考えを示した。

市は、管理体制の改善などを求めた同委の意見を受け、館内の整理整頓、美術資料の寄託や借用についてのガイドライン作成、県との人事交流などに取り組んできたが、この日の会合で金山委員長らから「他の文化施設と寄り添っていない。人、企画、広報などで連携することで、より『美術館力』が発揮できると思う」と、他の文化施設と連携するよう注文が出された。

篠田市長は4月中にも新館長公募の選考基準や選考委員を明らかにして、改革に向けた新館長を選ぶ考えを示し、「いただいた意見を無にしないように頑張る」と話した。(藤井裕介)(朝日新聞

 

「新潟市美術館の評価及び改革に関する委員会」はこれで解散となるのですね。

 

さまざまな改革案が提言されたようですし、館長の公募もよいのではないでしょうか。

日本の国公立美術館の場合、館長を公募するというのはきわめて稀で、通常は適任者の推薦制となっています。公募の場合、選考のありかたによってその良し悪しはあると思いますが、「業界の有力者」みたいな方が館長になられるより、若く、有能な方を抜擢できる可能性はあります。

 

ところで、前回(第七回)の「市美術館の評価及び改革に関する委員会」議事録が公開されており、問題となった作品の作家である鈴木勲さんが、ご報告をされています。

 

鈴木さんに対して市長さんが;

 

「美術館の展示の際に、先ほど申し上げたように、展示する前にしっかりときれいにするという作業が不十分だったために、鈴木さんの作品から何か問題が起きたというような印象を与えて、鈴木さんの作品そのものについてもきずをつけてしまったということについて、誠に申し訳なく思っており、今後、美術館のしっかりした運営をやっていくときの大きな教訓とさせていただきたいと思っております」

 

と謝罪されています。しかし、このように謝罪されても、鈴木さんのいわゆる作家としての名誉が回復するわけではないでしょう。

 

「今日は、鈴木さんにおいでいただいたことに感謝し、また、水と土の芸術祭、非常にいい作品をみずから身をもって展示をいただいたということにも感謝申し上げます。今後とも、作家としてより大きな活躍をされることを期待しておりますので、ぜひ、よろしくお願いいたします」

 

という市長さんのお言葉はあまりにも空しい。

 

主催者である市、そして美術館さんは、本来作家を「守る」側に立たねばなりません。しかし、一連の問題の報道の中で、そのような姿勢を鮮明に感じることはあまりありませんでした。

 

館長や学芸員さんは「入れ替え」して再出発することもできるでしょうが、作家という個人は「入れ替え」できません。

 

その切実さを、新潟市、美術館さんはどうお考えなのでしょうか(新潟市さんに限りませんが)・・・。

posted by baikado at 15:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 新潟市美術館問題
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