とりあえずのメモ。最近バタバタしていて落ち着いてブログを書く時間がありません・・・。
記事中にある「リバティおおさかの灯を消すな全国ネット」さんのサイトはこちらのようですが、まだコンテンツはないようです。http://libertyouennet.blogspot.jp/
リバティおおさか存続を 全国ネット発足
2012年07月22日
府と大阪市の来年度以降の補助金廃止方針が決まった大阪人権博物館(リバティおおさか)の存続を訴えようと、大阪市浪速区の同館で21日、全国ネットワーク「リバティおおさかの灯を消すな全国ネット」の設立集会が開かれた。
ジャーナリストや部落解放同盟など約200の個人・団体が呼びかけた。貧困問題に詳しい元内閣府参与の湯浅誠さん(43)が、差別を伝える同館の展示を「ネガティブ」とした橋下徹市長に対し「暗く厳しい現実を直視しなければ問題はもっと大きくなる」と指摘。
大阪HIV薬害訴訟原告団代表でネット共同代表に就いた花井十伍さんは「訴訟は薬害スモン患者やハンセン病回復者との出会いに助けられた。そうしたつながりをつくり、見えない人権を可視化して伝えてきたリバティは世界に誇れる」と語った。当面、補助金廃止の撤回を求める署名活動とカンパの呼びかけを進める。(朝日新聞)
大阪人権博物館:存続の危機 府市の補助金打ち切り 問題知る場なくせば差別は消える?
毎日新聞 2012年07月25日 東京夕刊
国内で唯一の人権に関する総合展示施設、大阪人権博物館(リバティおおさか、大阪市浪速区)が、存続の危機に直面している。年間10億4000万円の収入のうち約85%を占めていた大阪府・市の補助金が、今年度で打ち切られるためだ。行政が人権問題についての施設費用をまかなう意味と、補助金打ち切りの背景を、識者らの言葉から探った。【鈴木英生】
同博物館は、1985年開館。部落差別を筆頭に、アイヌ▽在日コリアン▽沖縄▽女性▽ハンセン病▽薬害エイズ−−など、さまざまな問題を取り上げる。展示資料は約2000点。文書やパネルを並べるだけでなく、実物大で再現したアイヌのチセ(家)、沖縄や朝鮮半島などの民族衣装が着られるコーナーなどもあり、多面的だ。
橋下徹・大阪市長と松井一郎・大阪府知事は今春、展示が「差別と人権に縛られている」「子供が夢や希望をもって将来像を描く施設になっていない」などとして、補助金打ち切りを決めた。
博物館の関係者らは、補助金打ち切りを「人権教育の危機」と憤る。以前は橋下市長自身、「僕は、人権という教育は絶対必要だと思ってますので、ここはもう崩さず」(府知事時代の2009年に博物館リニューアルを求めた際の府議会での発言)などと語っていた。
そもそも人権問題の展示施設を、行政が支えてきたのはなぜか。人権博物館の元理事長でもある元木健・大阪大名誉教授(社会教育学)は「『社会教育法』で説明ができます」と話す。
一般的に、博物館の設置運営は、同法に基づく社会教育の一環とされる。同法は、国や地方公共団体が「市民の自主的な社会教育活動のための環境醸成」をしなくてはならないとする。「同法は、博物館など施設の設置運営どころか、集会の開催や資料の作成・配布までも、行政の責務としています」(元木さん)
数ある社会教育活動の中から行政がどれを支援すべきかは、市民のニーズに基づくとされる。ただし、元木さんは「このニーズには、要求課題と必要課題の二つがある」と説明する。
要求課題とは、実際に住民が行政に要求しているもの。これに対して必要課題は、「多くの市民が求めていなくても、憲法や教育基本法が求める、民主社会を築くために必要な課題です」。目に見える要望がなくても、行政には率先して取り組むべき課題があるわけだ。ましてや人権博物館は、憲法が保障する基本的人権の侵害について学ぶ場。行政が支援して当然、むしろ「本来は国が運営すべき施設」と、元木さんは強調する。
しかも、人権博物館の維持は、要求課題でもある。部落解放同盟浪速支部は補助金打ち切りに反対し、博物館周辺の住民から5月の10日間で2730筆の署名を集めた。住民は約3600人だから、同支部の米田弘毅書記長は「就学前の子供や署名期間中ずっと留守にしていた人を除き、住民のほぼ全員が署名したはず」という。
橋下市長は、元木さんに「子供の頃、人権教育に反発した」と語ったことがあるという。元木さんは「大阪の人権教育は世界的にも極めて高い水準にあるが、原理主義的な行き過ぎや、教員の未熟さから十分な指導ができない例もあった。橋下市長は、その悪い面をもろに受けてしまい、反差別一般に嫌悪感をもったのでは」と分析する。
ある博物館関係者は言う。「市長は、差別問題について知る機会がなくなれば、差別自体がなくなると思っているのでは。差別に屈せず生きてきた人々の歴史を学ぶことからこそ、差別解消への道もあると、私たちは思うのだが」
在日コリアン2世でもある姜尚中・東京大教授(政治学)は「橋下氏がターゲットとする施設に、人権博物館と、住友財閥の寄付で戦前に建った府立中之島図書館が入っているのは象徴的だ。さまざまなマイノリティーやマジョリティーが形作ってきた複雑な世の中全体を否定して、競争原理だけに基づく社会をつくりたいという思考が、背景にある気がする」と話している。
◇反対署名など展開
人権博物館は今後について「来年4月からの博物館のあり方は、関係諸機関・諸団体と協議する」としている。
部落解放同盟大阪府連などは「リバティおおさかの灯(ひ)を消すな全国ネット」を設立し、補助金打ち切り撤回を求めて運動している。同ネットは署名活動のほか、昨年度より2割削減された今年度の補助金を穴埋めするためのカンパ活動も展開中だ。