2013年12月06日

写真集『torii』刊行記念トークショー@梅香堂のお知らせ

下道君が六年間撮りためた「torii」シリーズの写真集が、いよいよ刊行されます。これを記念して、梅香堂にてトークショーを開催します。

「torii」シリーズのコンセプト、撮影にまつわるさまざまな話などを直接聞ける貴重な機会です。

もちろん、写真集もお買い求めいただけます。

みなさまのご来堂をお待ちしております。


下道基行 写真集『torii刊行記念トークショー@梅香堂

2013年12月13(金)日 19:30〜 入堂無料

※会場の都合で、十分な席数がご用意できない場合があります。あらかじめご了承下さい。


“日本の国境の外側に残された鳥居”を探すフィールドワーク

当たり前に存在していた「境界線」を見つめ直す旅に出た。

「日本の国境の外側に残された鳥居」を撮影した下道基行の代表作「torii」。写真集『戦争のかたち』(リトルモア)から8年、ようやく写真集になります!

韓国・光州ビエンーレ2012で新人賞を受賞、東京都現代美術館での企画展「MOTアニュアル2012:風が吹けば桶屋が儲かる」などで話題になったこのシリーズ。未発表も含む30点の写真、他にも台湾撮影日記や取材メモなどフィールドワークの記録も掲載。

装丁は新進気鋭のデザイナー橋詰宗氏、プリンティング・ディレクターは熊倉桂三氏。

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『torii』

写真・文・編集:下道基行

装丁:橋詰宗

発行:ミチラボラトリー

発行日:2013年12月6日

印刷・製本:株式会社山田写真製版所 

ISBN978-4-9907518-0-7 C0072

280 × 225 mm 74ページ

税抜3,000円

posted by baikado at 13:28| Comment(0) | 展覧会のお知らせ

2013年12月02日

「音のすみか まほろば荘 ばきりノす 音の展覧会」@アートスペースジューソー

米子匡司君が参加している展覧会、「ばきりノす 音の展覧会」に。アートスペースジューソーさんは、天王寺駅近くの古いアパート、「新・福寿荘」内に今年できた新しいスペースです。

女性アカペラ・ユニット「ばきりノす」の音楽と、サウンド・エンジニアの西川文章さん、米子君のコラボレーションといえる展示。

暗い中、新・福寿荘に近づいて行くと、かすかな音楽が聴こえはじめ、さらに米子君の作品かららしい音が。入り口を開け、細い路地を通ると、足元の枯葉や、割れた瓦を踏みしめる音がそれに重なります。

建物に入ると、あちこちに設置されたスピーカーから「ばきりノす」の音楽が(16ヶ所らしい)。真っ暗な下の階に懐中電灯を持って下りると、点々と米子君の作品があります。

それらに電灯の光を当てると、作品が反応しさまざまな音や動きを発します。

新・福寿荘のレトロで不思議な空間の中を、音を探し歩き回るのは楽しい。音を含め、作品そして空間すべてが押し付けがましくなく、ひそやかで好感が持てました(子どもさんはちょっと怖がるかも・・・)。

12/16まで。入場料300円。夜がおすすめです。

場所がちょっとわかりづらい。天王寺駅を出て、あびこ筋を南下、大阪市立大付属病院の角を左折、病院前を過ぎて最初を右折し坂をやや下り、救急車入口の向こうの道を右折。50mほど進んだ突当りの小さな階段を降りた左です。二つ入口(玄関)がありますが、左手の木製のドアからどうぞ・・・。

posted by baikado at 22:59| Comment(0) | 美術

2013年11月29日

「ギャラリストのまなざし」@なんばパークス

「夏の大△」の大城真君が出品している「ギャラリストのまなざし」に早速行ってきました。

床に置いた大きなウーファー(低音用スピーカー)に紐を取り付け、天井まで紐を張り巡らせ、人間の耳には聴こえない低音を再生し、紐をゆらす作品。紐をストロボで照らすことによって、紐が波打って見えたりします。

小さなスピーカーが天井より吊るされており、それを三台のブラウン管テレビのホワイトノイズで囲み、照らしている作品。こちらもブラウン管のノイズ(走査線)の影響で、低音を発しているスピーカーの表面がゆらいで見えるらしい。

いずれも「夏の大△」や2010年のICCでの個展で発表された作品に通じるもので、簡単に言えば、聴こえない音を可視化した作品と言えるでしょう。

大城君は、いわゆる音楽畑の人ですが、こうしたサウンド・インスタレーションと呼びうる作品を作っています。

音楽畑の人のインスタレーションを、私のような美術畑の人間が見ると、素っ気なく見える場合が多い。ある種の実験装置のようなものを眺めている気になる。しかしそれは、私たちがあまりにも美術の「作法」に慣れ親しんでいるがためかも知れません。逆に音楽畑の人が美術作品を見ると、その作法に違和感を感じるかも知れない。

大城君の作品は、いわば音楽と美術の中間にあって、美術の作法の、さらにはその制度の奇妙さを浮かび上がらせている気がします。12/8まで。無休です。

posted by baikado at 17:35| Comment(0) | 美術

2013年11月28日

「渋沢敬三記念事業 屋根裏部屋の博物館 Attic Museum」@国立民族学博物館

先日、万博記念公園へ。民博さんの「渋沢敬三記念事業 屋根裏部屋の博物館 Attic Museum」展です。

渋沢敬三は、言わずと知れた渋沢栄一の孫。幼いころ生物学者になりたかったとははじめて知りました。本展は、敬三が私財を投じてコレクションした民俗資料、設立した民族学博物館や研究成果などを紹介するものです。

ダルマさんなど玩具からはじまったそのコレクションは、約28,000件におよび、国に寄贈され、民博さんに移管されました。本展ではその代表的な資料が展示されているのですが、興味深かったのは着物のコレクション。いわゆるきれいな晴れ着だけではなく、労働着など普段着が多くあり、戦前の資料として貴重だと感じました。

戦前までは、こうした民俗資料を博物館が対象とすることはほとんどなく、いわゆる美術品や歴史資料しかコレクションされていません。

たとえば大原孫三郎もそうですが、敬三のような戦前の資産家の多くは、慈善事業と言ってしまえばそれまでなのですが、文化活動に私財を投じることに使命感を持っていた。戦後、そうした流れが断ち切られたことにはさまざまな理由がありますが、いつもさみしく感じます。

ところで、今回も展示デザインはすばらしかったのですが、民博さんの特別展示館は設計が古いのか、予算をケチったのか、ぱっとしません。内装が安っぽく、空調機の風で「オシラサマ」の布が揺れていたり、床のトレンチがガタついていたり、気になるところが多い。本館に比べ大きく見劣りします。

日本を代表する博物館ですので、近い将来に刷新されることを期待します。

posted by baikado at 18:08| Comment(0) | 博物館・美術館

2013年11月17日

下道基行「torii」展オープン

昨日より、下道基行「torii」展が無事オープンしました。好天にも恵まれ、多くの方々にオープニングにおいでいただきました。下道君ともども御礼申し上げます。ありがとうございました。

今回展示している「torii」シリーズは、下道君の代表作であり、昨年の「光州ビエンナーレ」や「MOTアニュアル」などに展示されたものです。

梅香堂では、スペースの関係上、六点のみの展示ですが、十二分な見応えがあります。ホワイト・キューブの大きな展示室とは異なり、コンパクトな梅香堂で見ると、作品に囲まれているようで、より作品に集中でき、まさに写真の世界に沈潜していく気持ちになります。

とくに一階の展示はすばらしい。ちょっと大げさですが、感動的とさえいえるものです。

下道君の作品は、「こんなところにも鳥居が」という驚きのレヴェルをはるかに超えて、かつてそこに生きた人々の歴史、日本という国家の歩み、さらには「近代」の抱える運命的な何かにまで思いを馳せさせます。

見れば見るほど、いろんな思いをかきたて、見飽きることがない。もちろんプリントのクオリティも申し分ありません。

ぜひ、足をお運び、みなさまの眼でお確かめ下さい。

posted by baikado at 18:17| Comment(0) | 梅香堂