先日、ちょっと時間ができたので、天王寺へ。大阪市立美術館さんの「再発見!大阪の至宝 コレクターたちが愛したたからもの」です。
大阪市美さんをはじめ、大阪市の博物館・美術館さんのコレクションの中核を占めるおもに個人コレクターさんたちが寄贈した作品や資料が展示されています。ほとんどがすでに見た名品ばかりでしたが、こうして「〜コレクション」とセクション別けされているのを見ると、それぞれのコレクターさんの個性が見えてくるようで興味深い。
会場で思ったのは、ここにある作品のほとんどは、いわゆる「展覧会」のようなかたちで、広く人の眼にふれることを考えて作られていないこと。当たり前ですが、日本の場合、作者が広く一般の眼を意識して作品を制作しはじめたのは、江戸期の大衆芸術を除けば明治以降です。
「展覧会」や「展示会」が支配的な発表のスタイルになったのは、戦後以降といってもよい。ほとんどの作家が「展覧会」を意識してはいなかった。彼らが意識したのは、いわゆるパトロンやコレクターであって、不特定多数ではない。
それが表現などに与えた影響は、いろんな先学が指摘していますが、私が今回直感的に思ったのは、「作品が恥ずかしそう」に見えたことです。ピカピカの展示ケースに収められ、四方八方からながめられている姿は、どこか所在無さげでした。
長い間、個人コレクションであった作品には、そうしたことを感じさせる「何か」があるのかも知れません。
とにかく、これだけの個人コレクションによって成立している公立美術館さんは、ほかの自治体には少ない。ぜひ足を運んでみて下さい。12/8まで。