2013年09月28日

花代展二週間

花代 写真展「灰色区域」が、オープン二週間となりました。毎日、花代さんの作品をながめていると、今までの彼女の作品とは少し趣きが異なる点などに気づきます。

先日、花代さんの作品はいわゆる「ガーリー・フォト」とは異なる点がある、と書きましたが、もちろん共通するところも多い。その一つは何気ない「日常」をその被写体としているところです。そして、写真が本来そなえている大文字の「記録」への欲望が、それまでの写真家たちに比べると、希薄というかきわめて個人的なところ。

飯沢耕太郎さんが言及されていますが、いわゆる大上段に被写体に立ち向かう「男性原理」に従った写真に比して、彼女たちは被写体に寄り添う、まさに「女性原理」に従って写真を撮っているとも言えます(「Photologue - 飯沢耕太郎の写真談話」より)。

これも飯沢さんが指摘していますが、花代さんが敬愛する森山大道さんも、一見ハードな「男性原理」的な写真家に見えますが、実は「女性原理」的な写真家といえます。とくに初期の「アレ・ブレ・ボケ」と称された「プロヴォーク」時代の作品などは、大文字の写真への反抗とも言えるかも知れません。

今回の花代さんのモノクローム作品は、もしかすると大道さんへのオマージュなのかも知れません。今までのカラー作品ではその独特の色彩により背景化していた、彼女の作品の本質あるいはルーツである、「アレ・ブレ・ボケ」的な表現が際立っているように感じます。

ぜひ足をお運びいただき、カラー作品との違いを感じ取っていただきたいと思います。

また、品切れ状態であった、限定版写真集「灰色区域」も再入荷しています。展示されていない作品も含まれていますので、こちらもお見逃しなく。

posted by baikado at 18:01| Comment(0) | 梅香堂

2013年09月19日

「六本木クロッシング2013」:下道基行・中崎透(プロジェクトFUKUSHIMA)が参加します。

森美術館開館20周年記念 六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」に、下道基行・中崎透の両君が参加します。

下道君は(おそらく)新作を、中崎君は、プロジェクトFUKUSHIMAのメンバーとして、大風呂敷のインスタレーションなどを発表するはずです。

「1970〜80年代生まれの若手を中心に」とされていますが、赤瀬川原平、中平卓馬、中村宏、菅木志雄さんら重鎮?作家も多く、29組の作品がどのような構成になっているのか、ちょっと期待しています。

そういえば花代さんも第一回の六本木クロッシング(2004年)に参加されていましたね・・・。

会期も長いですし、お近くの方、お時間のある方はぜひ。


会  期:2013年9月21日(土)−2014年1月13日(月・祝)

開館時間:10:00-22:00(火曜日のみ17:00まで)

     ※入館は閉館時間の30分前まで

     ※会期中無休

入館料(税込):

      一般1,500円、学生(高校・大学生)1,000円、子供(4歳ー中学生)500円

会  場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)

主  催:森美術館

企  画:片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)

     ルーベン・キーハン(クイーンズランド・アートギャラリー | ブリスベン近代美術館アジア現代美術キュレーター)

ガブリエル・リッター(ダラス美術館アシスタント・キュレーター)

posted by baikado at 09:59| Comment(0) | 展覧会のお知らせ

2013年09月16日

花代 写真展「灰色区域」オープン

一昨日より、花代 写真展「灰色区域」がオープンしました。

花代さんはベルリンから直接大阪入りされ、展示の準備をしたのでお疲れになったと思います。ありがとうございました。

また、オープニング・パーティには少なからぬお客さんにおいでいただき、差し入れなども頂戴いたしました。花代さんともども御礼申し上げます。

今回は花代さんにとって初めてのモノクロ写真展。一点一点ていねいにプリントされた作品はカラー作品とはまた違った味わいがあります。

お客さんともお話ししたのですが、花代さんの作品はいわゆる「ガーリー・フォト」とは異なるところも多い。その一つとして「セルフ・ポートレート」がほとんどないことがあると思います。

「セルフ・ポートレート」すなわち自己へのまなざしの有無は、写真家の表現にとって決定的な影響を与えるものです。

花代さんの、日常風景を撮影しているにもかかわらず、どこか非─日常的なイメージの写真たちは、花代さんの独特のまなざし─世界観によるものでしょう。その非─日常性がモノクロであることで、より強調されているように思います。

ぜひ、足をお運びいただき、作品を楽しんでいただきたいと思います。

ご来堂をお待ちしております。

posted by baikado at 17:49| Comment(0) | 梅香堂

2013年09月06日

花代展について:追記

花代さんの展覧会について、いくつか追記を。

○タイトルが決定しました。

花代 写真展「灰色区域」

hanayo -- Grauzone

○展覧会に合わせ、限定版写真集『灰色区域』も出版予定です(デザイン:田中義久 予価:未定)。

○花代さん企画による、下記の関連展示も開催予定です。

 写真展「花代のゆかいな仲間たち─日本写真家編」

 2013年9月15(日)日〜10月13(日)日 (毎週日曜日のみオープン)  13:00〜19:00

 黒目画廊(大阪市此花区梅香2-9-1 藤田荘2F)

 入場無料

 沢渡朔/潮田登久子/勝本みつる/野村佐紀子/酒航太/荒川誉一/永井祐介/池野詩織

posted by baikado at 22:52| Comment(0) | 展覧会のお知らせ

2013年08月31日

あいちトリエンナーレ2013

一昨日、昨日と、「あいちトリエンナーレ2013」へ(岡崎会場は未見)。

一言でいって、よい展覧会でした。「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」というテーマに、しっかりと答えた企画といえるのではないでしょうか。

企画者、アーティストやその作品たちは、われわれは過去も現在も未来も、常に揺れる大地に立っていると伝えたかったのではないか。

大震災から二年以上を過ぎた今だからこそ可能となった企画ともいえます。大震災以降、散見された類似のテーマの駆け込み企画?とは、一線を画していると思います。

外国人アーティストたちに比して、日本人アーティストたちが、一見、物足りなく見えるところにも、冷徹なリアリティがある。

「大文字」のアートの抱える大命題に踏み込んだ、好企画だと思いました。

おすすめします(10/27まで・月曜日休場があります)。

土日祝、会期後半は混雑するかも知れませんので、平日、会期前半がよいかも・・・。

posted by baikado at 22:49| Comment(0) | 美術